絵本塾カレッジ

第5回創作絵本コンクール結果発表!!

絵本塾カレッジ主催

第5回 創作絵本コンクール

最終審査講評

9月6日、第5回創作絵本コンクールは、第一次審査で選考された20作品を対象に最終審査会が行われました。選考の結果、審査委員総員は以下の7作品を本年度の授賞作品に選出いたしました。

・【大        賞】  『大根道中ひざくりげ』            よしたか ゆみこ:作/絵

・【優   秀   賞】  『カエールさんは かえる』         いがらし あつし:作/絵

・【審査員特別賞】  『べんてんさん はるですよ』       しずか なお:作/絵

・【佳        作】  『きょうりゅう めざめろ』    たかぎ ゆうこ:作/ やまだ れいな :絵

・【佳        作】  『ぽつん ぽつん ざー ざー』      みこ:作/絵

・【佳        作】  『モクモクくん』                  おぜきはるか:作/しばた ゆうこ:絵

・【佳        作】  『とりとおじさん』               むらた ゆり:作/絵

【作品講評】

コロナ・パンデミックは発生から3年目に入りましたが未だに収束の兆しはありません。永くつづく感染禍中にあって、私たちの生活は一変しました。働き方や学び方も、コロナと共存できるような新しい考え方が採用され始めています。このような背景のなかで絵本塾カレッジ主催第5回創作絵本コンクールは実施されました。

作品募集は年初1月10日から7月30日までのほぼ半年間。前年をはるかに超える感染状況が作品創作に取り組まれる方々に影響を与えたのでしょうか。前4回コンクールまで増加をつづけた応募作品数でしたが今回の作品応募数は一昨年並みに減少する結果となりました。しかしながら、回を追うごとに認知度を高めてきた当コンクールの実際は応募作品の質的向上に大きく反映されていました。総じて絵画技法に巧みさや面白さがみられ、物語性もゆたかな作品が出そろいました。

一次審査は、8月31日から9月5日まで開催された「応募作品展示会」に並行して審査委員各員が数日間展示会に参加し個別に作品審査にあたり、各員が6作品を選定、順位を附して推挙する方法を採用しました。

審査委員の作品評価の捉え方は各員で多様です。選定の結果は作品延べ総数36点。内訳は、2名以上の複数選定9点、単独選定が11点の20作品となりました。応募された作品も多彩であり、作品力量や魅力を、個性ゆたかな審査委員各位の視点で捉えた選定だったということではないでしょうか。

最終審査は、9月6日、審査委員総員6名(1名は投票参加)が一堂に会して審査会を行いました。審査は一次審査で選定された20作品を各員の選定順位表(1位から6位まで)を参考に作品1点ずつの合評討議に附して選考する形式で進行して大賞ほか各賞の選出を行いました。最終審査の結果はつぎのとおりです。

5回創作絵本コンクール大賞は、売り物にならないと見かぎられた足のついた(二股の)大根が自分だってみんなの役に立つのだと張りきって旅にでるゆかいな『大根道中ひざくりげ』(よしたかゆみこ:作)に決定。本扉の前にさらりと主人公を紹介して物語に導入するなど場面づくりと展開に工夫がみられる作品で不思議な面白さにいざなう滑稽譚でした。シンプルなテキストと明瞭なイラスト描出も笑いを誘います。審査員総員で割れることのない評価を得ての大賞受賞となりました。

優秀賞は、『カエールさんは かえる』(いがらしあつし:作)決定。個性ゆたかなイラストとともにテンポよくおはなしが展開するゆかいな好作品です。面白さも十分ですが、何度も読み返すと「のんびり休んで、心と体を元気に、戦場をお花畑に…かえる」などと、すぐれて同時代的な生き方のメッセージが語られていました。大人たちにもなにかしらを感じさせる作品といえるでしょうか。

審査員特別賞は、『べんてんさん はるですよ』(しずかなお:作)に決定。大きな池のある神社の春に向かうほのぼのとした風情を、鳥や動植物などを境内にやわらかく描きよせて物語る作品。暖色で彩色し描き込んだイラスト展開は落ち着いた心地よさを感じさせてくれます。七福神のなかでも親しみやすい女性の弁財天を選択して雰囲気のある情景を醸し出しています。

佳作作品には、つぎの4作品が選定されました。4作品はいずれも絵本創作や画業にそれなりの経験や実績のある作者からの応募ではないかと想像させる良質作品ぞろいとなりました。

『きょうりゅう めざめろ』(たかぎゆうこ:作/やまだれいな:絵)

むだを削ぎとった一言発するだけのテキストに熟練したイラストで構成された隙のない作品でしたきょうりゅうの骨格イラストなどその秀逸さが審査員の話題にのぼりました。

『ぽつん ぽつん ざー ざー』(みこ:作)

雨の降りはじめからどしゃぶりに転じあがって陽が差すまでを美しい絵画表現で描き切り洒脱な擬音だけで語りきった絵本構成は見事でした。

『とりとおじさん』(むらたゆり:作)

働き者のおじさんと切り落とした枝木のなかに巣をつくっていた鳥の家族が心を通わせる物語。現代むかしばなしの趣きで、素朴な絵づくりに惹きつけられる作品でした。

『モクモクくん』(おぜきはるか:作/しばたゆうこ:絵)

ぬいぐるみのうさちゃんと少女ちいちゃんの切っても切りはなせない関わりをふんわりと描いた幼児絵本。読み手聴き手がやさしさやあたたかさを共有できる作品でした。

創作絵本コンクールは回を重ねて5年。応募作品にすこしずつ変化が生まれてきました。幼児絵本・ファンタジー作品ばかりでなく、子どもたちとの体験や経験から、あるいは現在という暮らしの立ち位置から題材を渉猟して生まれる多様な作品が増えています。面白く愉快な作品、ノンフィクション材の絵本化、知識絵本、メッセージ性ゆたかな作品、しかけ絵本などトーイブック的な作品も応募されるようになりました。

未来を創造する幼児や児童たちと絵本を通じて関わりを持ち大人と子どもたちが共同する絵本作家の活動はすばらしい活動です。すでに本コンクール受賞者のなかには絵本作家として活動されている方々もいます。審査に関わる私たちにとって、とてもうれしいことです。

審査員一同、今回受賞されるみなさんがますます精進されて新たなステップをふまれ、多くの読者に広く支持される創作絵本創造に挑まれることをつよく望みます。そして出版機会の幸運を得てご活躍されることを期待いたします。

当該コンクール催行にあたって、前回と同じく、たくさんの方々にご尽力をいただきました。ご協力くださった関係各位に心より感謝いたし、御礼を申し上げます。

審査委員長 飫肥 糺

2022年9月15日

【絵本塾カレッジ:創作絵本コンクール 審査委員】

上野与志/飫肥糺/かさいまり/風木一人/多屋光孫/ビーゲンセン

(五十音順)

メニューを閉じる