絵本塾カレッジ

第4回 創作絵本コンクール結果発表

絵本塾カレッジ主催

最終審査講評

10月5日、第4回創作絵本コンクールは、第一次・第二次審査で選考された24作品を対象に最終審査会が行われました。選考の結果、審査委員総員は以下の8作品を本年度の授賞作品に選出いたしました。

・【大        賞】  『こころんけい』                         たて ゆうこ:作/絵

・【優   秀   賞】  『コロッケかあさん』                     たけだ ますみ:作/絵

・【審査員特別賞】  『え  き』                              森田 あずみ:作/絵

・【佳        作】  『ぼくとジョンとガラスのたび』             石塚 直子:作/絵

・【佳        作】  『さいこうのまくら』               ふじた あお:作/のぶちか めばえ:絵

・【佳        作】  『おゆうぎかいはへっちゃらへい』          ふじおか かな:作/絵

・【佳        作】  『くろねこまじょねこ むらさきいろのまほう』  シバタケ クミ:作/絵

・【佳        作】  『ゆめくいバクとおばけライオン』                あさお よう:作/絵

【作品講評】

第4回創作絵本コンクールは昨年年初来の新型コロナ・パンデミックがさらに拡大して非常事態宣言・蔓延防止緊急措置が再三くりかえし発出されるなかで実施されました。コロナ禍のため当該コンクールも約1か月半の日程延期を余儀なくされました。このような状況から今回コンクールの応募者減少が心配されましたが、私たちのそんな危惧の念は一掃され前回に倍増する作品応募数となりました。本コンクールが絵本作家を志す人々に正しく認知されてきた証左でしょうか。

このため、前回までの二次選考を、三次選考で行う審査方法に変更いたしました。

一次審査は、応募作品を6名の審査委員に等分に配分、そこから各委員5点を優良作品として選抜し一次通過としました。通過作品は各5点を超える推挙作品もあり、計34作品となりました。

二次審査は、審査委員全員が一次通過34作品を総覧審査して選考、各委員が推挙順位(1位から10位まで)をリスト化して三次(最終)審査会に各自上程いたしました。

二次審査と並行して、コンクール主催者による「作品展示会」が9月29日から10月5日までの会期で東京神田のブックハウスカフェ特設会場で催行されました。

最終審査(三次)会は、10月5日、全審査委員6名が一堂に会して行われました。

審査は審査委員各員の推挙作品リストを審査資料とし、各委員が主に順位5位までに推挙した13作品について合評を行って議論を交わし授賞作品の選考に努めました。

創作絵本コンクール大賞は、明るい色調にゆかいな描線でイラスト展開してノンセンスな味わいで物語る構成の『コロッケかあさん』(たけだますみ:作)と、子どもたちの揺れる心を描いた『こころんけい』(たてゆうこ:作)の1位推挙表を複数記した2作品が競うことになりました。物語構成・表紙造形から完成度、さらには市場性の捉え方について審査委員の評価が分かれましたが、最終的に『こころんけい』を大賞に選出、『コロッケかあさん』は優秀賞に決定しました。

大賞授賞作『こころんけい』は、自分の気持ちをうまく表現できずに素直にみんなと楽しめなくていつもむかむかしている少年はるくんのおはなしです。作者は体温計”こころんけい”を登場させて少年の哀しさやうれしさ、怒りなど心の状態を測らせます。かくして少年はぐんぐん変わってゆくというストーリー。着想がよく、子どもにみられる心の揺れをみごとに描いて面白い作品でした。

審査員特別賞には、高得点は得なかったものの魅力ありと審査委員の評価が集まった『えき』(もりたあずみ:作)が選ばれました。無人駅の待合室を定点として経過する時間とともに迷子になったり寝場所失った動物たちがつぎつぎに寄り添うようすをあたたかく描いた作品です。定点でたしかに刻まれる時間のリズムが音になって聞こえてきそうな作品です。

第4回コンクールの佳作は、甲乙つけがたい作品が多かったことから主催者の意向で上記掲出のように5作品を授賞作として選定いたしました。

授賞作品は、夏に広がる夢や冒険心をうまく描いた『ぼくとジョンのガラスのたび』(石塚直子:作/絵)、創作昔話といっていいテキストが趣きぶかい『さいこうのまくら』(ふじたあお:作 のぶちかめばえ:絵)、親しみやすくて楽しいお話となった『おゆうぎかいはへっちゃらへい』(ふじおかかな:作/絵)、洗練された作品づくりがうかがわれた昨年(優秀賞)からの連作作品『くろねこまじょねこ むらさきいろのまほう』(シバタケクミ:作/絵)、確かな個性で描き興味をそそられる『ゆめくいバクとライオン』(あさおよう:作/絵)、以上の5作品。それぞれが良質なすぐれた作品でありました。

第4回創作絵本コンクールはこれで終了し、コンクールは来年、第5回目の催行となります。

年々、増加傾向にあります応募者は、絵本作家を志して修行中の方々が大半ですが、回をおうごとに、すでに絵本作家としてデビューを果たしている方や、別分野でイラストレーター、デザイナー、文筆家として活躍領域を築かれている方々などが多く加わり多彩となってきました。プロ・アマ混交する作品コンクール競演はすばらしいと思います。入賞されたみなさんの創作作品が出版の機会を得て広く読者に歓迎されるようになることを期待いたします。

観察・体験からモチーフ・テーマの渉猟へ、物語・絵画展開まで、熱意にあふれる応募作品の数々は私たちの心を躍らせています。そして、当該コンクールがいくらかなりと新しい絵本作家の誕生に寄与することができれば、審査委員一同、大きな喜びとなるでしょう。

作品を応募くださったみなさますべてに御礼申し上げます。

また、コンクール催行にあたってご尽力くださった方々、ご協力頂いた関係各位のみなさまに心より感謝申し上げるしだいです。

審査委員長 飫肥 糺

2021年10月12日

【絵本塾カレッジ:創作絵本コンクール 審査委員】 (五十音順)

上野与志/飫肥糺/かさいまり/風木一人/多屋光孫/ビーゲンセン

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